T-GALAXY.COM T声人語
 HOME|ギャラリ-|募集|MAP|会員登録|FAQ|連絡先|LINK|会社案内

お言葉その52  デジタルな江戸人」   


●○○○●○○○○●○○○○●○○○○●○○○○●○○○○●○○○●

れまで、小説のストーリーは一つしかなかった。しかし、RPGでは、
プレーする人によって異なる選択肢を取り、いくつかのストーリーを体験
することができる。これと同じことが、ハイパーテキストを使えばできる。
私は初めてハイパーテキストという言葉を聞いたときに胸が踊った。

説は400字詰原稿用紙で数百枚、コラムは800〜900字、e-mail
は数十字の表現が主体である。本来ならば、e-mailならではの表現形態や
スタイルが出てきても良いのだが、まだ期が熟してないらしい。

イパーテキストも同様であり、概念はあるが優れたコンテンツが現れて
いない。ハイパーテキストはHTMLとほぼ同義語である。つまり、ホーム
ページはハイパーテキストで表現された作品なのだが、実際にはあまり有効
に使われ方とは言えない。

ぜなら、現在のハイパーテキストの使い方は、論理性に偏っているからだ。
ほとんどが、大テーマから中テーマ、小テーマというように次第に詳細な説
明になっていく。こうした使い方は、欧米人のようなロジカルな民族にとっ
ては当然だろうが、日本人にとっては甚だ面白くない。

イパーテキストを使えば、特定の言葉をクリックすることにより、別世
界にワープできる。それは、論理的な解説の場合もあるが、そこから連想さ
れるグラフィックが飛び出したり、サウンドが流れたり、その言葉にまつわ
るエッセイを出すこともできる。つまり、日常会話のようにイメージを膨ら
ませ飛躍することが可能になる。このパラレルな世界が真骨頂ではないだろ
うか。

えば、江戸時代の連歌のようなイメージ。一つの歌の中に含まれる言葉
から連想した歌が出てくる。その繰り返しが独特の雰囲気を世界観を創り出
す。

舞伎の表現や邦楽の歌詞も非常にビジュアルであり、デジタルに飛躍し
ているものが多い。私は、江戸人が相当デジタルな感覚を持っていたと確信
している。

例として、「岸の柳」という長唄を紹介しよう。出だしはこんな風であ
る。
 「筑波根の 姿涼しき夏衣 若葉にかへし唄女が 緑の髪に風薫る 柳の
眉のながし目に その浅妻をもやひ船〜」

 「筑波根」とは江戸から遠くにみえる筑波山のこと。筑波鼠という色名が
あったというから筑波という言葉の中にはグレーのイメージが込められてい
る。つまり、遠くにグレーに霞む筑波山のイメージが頭の中に浮かぶ。

 「姿涼しき夏衣」と続くところで、グレーのいかにも涼しげな夏物の絽の
きもののイメージにワープ。鼠という粋な色を着るくらいだから、粋な年増
に違いない。

 「若葉にかえし唄女(うたいめ)が」で、いきなり鮮やかな新緑が出てく
る。グレーの背景は新緑である。そして、やはり期待を裏切らない粋な唄女
が振り返る。どんな顔だろうと連想していると、「緑の髪に風薫る」と来る。
若葉から緑と受けるグラディエーションのイメージと、緑の黒髪というイメ
ージが重なる。風薫るというんだからブスなわけはない。きっと美人なのだ
ろう。

 「柳の眉のながし目に」で、いきなりカメラはアップ。柳のように細い眉
が流行したのは現代だけではない。柳眉とは、中国からの伝統的な美意識で
す。ほっそりとした眉の下にある艶っぽい目が流し目をする。ここで動きが
出ていることに注目。目がスーッと流れていく。アニメーションです。

 「その浅妻をもやひ船」で、ようやく全景の様子が分かる。浅妻を取る、
とはきものの打合せのところを軽くつまむ様子であり、この動作はおはしょ
りをしていない江戸芸者を表している。しかも、岸につながれている船にま
さに乗り込むシーンというわけです。

ジュアルに表現すれば、カメラは遠景の筑波山を写し、グーッと寄って
夏物のきものを裾からナメていく。そして、再び背景の若葉にターンして、
今度は日本髪から下りてくる。ここで、思い切りアップで目の動きを追って
いく。少しずつカメラを引いて、船に乗り込む全身を写すというわけ。

にビジュアルだとは思いませんか。ここではあまり掛け言葉は出てきま
せんが、これに掛け言葉が入ってくると、同時に二つか三つのビジュアルが
ウインドウズに出てくることになります。

戸人は論理性やストーリー性よりも、情景の移り変わりに興味があった。
歌舞伎もストーリーを追いかけると何だか分からなくなる。でも、ビジュア
ルの連続、シュールな劇画と思えば非常に分かりやすい。

ういうパラレルな感性を日本人は持っている。デジタルな文化をリード
するのは日本人しかいない、というのが私の結論です。◆





坂口 昌章  VEA00603@niftyserve.or.jp 1957年東京生まれ。
シナジープランニング代表盛上げ役兼シナジーネット元締。
ファッションに関することを、喋る、書く、企画する、偉そーにする等が仕事。
織物産地、小売店、アパレルメーカー、下町、居酒屋等に出没。





BACK NUMBER (敬称略です)
97/04/17
携帯電話と盗聴機』 
柳田 公市
97/04/10
と男の話「うたたね編」
井上 和美
97/04/03
入社式の風景
坂口 昌章
97/03/27
アマゾンから生まれるベンツ
柳田 公市
97/03/20
と男のお話+パンクのお話 
井上 和美
97/03/13
オリンピックが終わったら・・・
らむね
97/03/06
テンションの問題
坂口 昌章
97/02/20
と男のお話(中学生編)
井上 和美
97/02/13
オリンピックですねー
らむね
97/02/06
PopeTシャツが外貨の稼ぎ頭?
柳田 公市
97/01/23
倒産のどこが悪い
坂口 昌章
97/01/09
今年の「Tシャツで遊ぶ楽しむ」方針
久米 信行
97/12/19
と男のお話2
井上 和美
97/12/12
「わたし、つわってます〜♪」 Tシャツって欲しいかも
らむね
97/12/05
PePe Jeans 販促手法に脱帽
柳田 公市
97/11/21
CTシャツの提案
坂口 昌章
97/11/14
と男のお話
井上 和美
97/10/31
リスクなんてない
岸本 栄司
97/10/03
風と陽射し
柳田 公市
97/09/26
アナログの美意識と隠居
坂口 昌章
97/09/12
男とのお話2
井上 和美
97/09/05
疾走するアジア
坂口 昌章
97/08/29
先に目標ありき!目標は大きく.....
岸本 栄司
97/08/22
の文化とTシャツ
柳田 公市
97/08/08
男とのお話
井上 和美
97/08/01
祝!!Tシャツの日☆でも、なぜにあなたは、Tなのよ
らむね


これより前のバックナンバーIndexへ



−新連載−

コットンを育ててみようオーガニックコットン



表 紙T-Modelを探せT-Artists紳士録Tシャツの達人リンク
徹底比較Testお宝T鑑定T声人語あったかTサイトWHAT'S NEWS
まんがTシャツマッスルたけサイトマップガイドツアー
FAX-ORDER : MAIL-ORDERお問い合わせ



| INDEX | 業界用語辞典 | TシャツQ&A | Tシャツができるまで | お薦めTサイト |
インターネットギャラリー| T-ARTギャラリ− | オリジナルT | カタログ案内 |
| T's ビッグバン | おひさまに注意 | ギャラリーショップ | 私たちの会社 |